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日本の非居住者になれば免除される税金6種類
所得税
[平成31年4月1日現在法令等]によりますと、
非居住者及び外国法人については、日本国内で稼得した「国内源泉所得」のみが課税対象とされます。
となっています。
では、国内源泉所得とは何か?ですが、代表的なものは、
(5)の国内不動産の賃貸収入や
(7)の株式配当
あたりですね。
これら以外の所得、例えば、居住している国でビジネスを始めて得た利益は非課税ということです。
(これは当たり前で、そうでないと、外国に出てビジネスしている人は、2重課税になってしまいますからね)
ただし、下記のある通り、かなり広範囲な課税対象となっていますから、大雑把に言いますと、
海外移住したからといって、日本の事業や投資からの所得が非課税になる、と考えるのは、かなり短絡的、ということになります。
以下、長くなりますが、正確性のために、引用しますね。
(1) 恒久的施設帰属所得、国内にある資産の運用又は保有により生ずる所得、国内にある資産の譲渡により生ずる所得
(2) 組合契約等に基づいて恒久的施設を通じて行う事業から生ずる利益で、その組合契約に基づいて配分を受けるもののうち一定のもの
(3) 国内にある土地、土地の上に存する権利、建物及び建物の附属設備又は構築物の譲渡による対価
(4) 国内で行う人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価
例えば、映画俳優、音楽家等の芸能人、職業運動家、弁護士、公認会計士等の自由職業者又は科学技術、経営管理等の専門的知識や技能を持つ人の役務を提供したことによる対価がこれに当たります。
(5) 国内にある不動産や不動産の上に存する権利等の貸付けにより受け取る対価
(6) 日本の国債、地方債、内国法人の発行した社債の利子、外国法人が発行する債券の利子のうち恒久的施設を通じて行う事業に係るもの、国内の営業所に預けられた預貯金の利子等
(7) 内国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配等
(8) 国内で業務を行う者に貸し付けた貸付金の利子で国内業務に係るもの
(9) 国内で業務を行う者から受ける工業所有権等の使用料、又はその譲渡の対価、著作権の使用料又はその譲渡の対価、機械装置等の使用料で国内業務に係るもの
(10) 給与、賞与、人的役務の提供に対する報酬のうち国内において行う勤務、人的役務の提供に基因するもの、公的年金、退職手当等のうち居住者期間に行った勤務等に基因するもの
(11) 国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品
(12) 国内にある営業所等を通じて締結した保険契約等に基づく年金等
(13) 国内にある営業所等が受け入れた定期積金の給付補てん金等
(14) 国内において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約等に基づく利益の分配
(15) その他の国内源泉所得
例えば、国内において行う業務又は国内にある資産に関し受ける保険金、補償金又は損害賠償金に係る所得がこれに当たります。
これらについての課税方法は、国内源泉所得の種類、恒久的施設の有無、国内源泉所得が恒久的施設に帰せられる所得か否かによって異なります。なお、租税条約によって国内源泉所得について異なる定めがある場合は、租税条約に従うことになります。
また、(1)、(15)以外は源泉徴収の対象となります。
相続税
現在の法令では、実質、相続税逃れのための海外移住は封じられました。
10年以内に日本に住所を有した場合は、国外財産も課税対象となっていますからね。
(以前あった、いわゆる5年住めば非課税、ではない)
以下の部分がポイントです。
ただし、次のいずれかに該当する人が財産を取得した場合には、日本国外にある財産についても相続税の対象になります。
- 1 財産を取得したときに日本国籍を有している人で、被相続人の死亡した日前10年以内に日本国内に住所を有したことがある場合か、同期間内に住所を有したことがなく被相続人が一時居住被相続人又は非居住被相続人でない場合。
これから、節税のための相続をしたい、と思って行動しても、親子ともに、10年は海外生活、というのは、事実上、無理ゲーですね。
住民税
これは割とシンプルで、1月1日時点の住所が日本にあるかどうか、が基本です。
僕の場合は、年末までに役場に国外転出届を出しただけ、です。
(ただし、会社員で海外赴任して住民票を抜いても課税が続いているケースも聞いています)
僕の場合は、請求は来なくなりました。
会社員が年末前に退社して海外移住、という場合には、住民票を抜けば、かなりの金額の住民税が免除になりますね。
国民年金(税金の一種として)
転出届出して海外居住するなら、脱退となります。
任意継続は可能ですし、再度、帰国したら再加入もできます。
国民健康保険(税金の一種として)
国民年金と同様です。もし日本に一時帰国して保険治療を受けたい場合には再度住民票を入れて、健康保険も再加入すれば良いです。
ある程度の期間が経過して、また、転出、というのは可能ですが、グレーゾーンですが、自分の周りでも多くの人が行っています。
医療は日本が最強、ということを海外生活すると痛感します。
消費税(一時帰国中の免税ショッピング)
消費税10%が免税になるので、かなりおおきいですよ。
あくまで、海外へのお土産、使用が前提なので、特に食品の場合には厳重に包装されますが(開封厳禁、と書かれています)、僕自身の経験では、羽田や成田空港の税関で現物チェックされたことは皆無で(実際のところ、荷物を預けた後ですから、チェックしようがありません)、実態はざるでしょうね。
なお、これまで、ドンキホ―テをはじめ、パスポート以外にビザの提示を求められたことは1回もありません。
チェックされたのは、パスポートの入国スタンプのみです。ですから、入国スタンプは必ずもらっておきましょう。
※外国のビザを勧誘する業者が、ビザ保有のメリットとして、この消費税免税を強調することを耳にしますが、あくまで、実際に海外に住んでいるのが前提です。
フィリピンのSRRV やマレーシアのMM2Hを持っているけど、日本に住んでいる人には免税特典はありません。
あくまで、一時帰国(短期帰国)に限られます。
非居住者⇒“生活の本拠が日本以外の国”となる必要がある
183日超えたから非居住者、は間違い
一番多く来る質問ですが、これは間違いです。
国税庁のウェブサイトに、以下の通り書かれています。
(注) 滞在日数のみによって判断するものでないことから、外国に1年の半分(183日)以上滞在している場合であっても、わが国の居住者となる場合があります。
ですから、海外旅行しながらFX、株式、仮想通貨(暗号通貨)のトレードして、年間183日以上海外で過ごしたから、非居住者というのは認められないと思います(必ず税務署、税理士に確認してくださいね)。
生活の本拠が日本以外と認められる条件は?
大ざっぱに言うと、
・海外に1年以上定住する住所がある
・外国の永住権を持ち、かつ、日本に生計を同一にする家族がいない
と、かなり厳しいですね。
要は、総合的に判断、という名目のもと、いろんな判断が出来てしまう、ということになるわけです。
参考
上記をそのまま適用したら、では、単身赴任の海外駐在員は外国法人から受け取った給与も日本で課税対象となるのか?というと、租税条約次第ではありますが、そうではないのが大部分と推測します。
国内に住所を有しない者の推定について
国外に居住することとなった個人が、次のいずれかに該当する場合には、その者は、国内に住所を有しない者と推定されます。
1 その者が国外において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること
2 その者が外国の国籍を有し又は外国の法令によりその外国に永住する許可を受けており、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有しないことその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が再び国内に帰り、主として国内に居住するものと推測するに足りる事実がないこと
※ 上記により国内に住所を有しない者と推定される個人と生計を一にする配偶者その他その者の扶養する親族が国外に居住する場合には、これらの者も国内に住所を有しない者と推定されます。
このような状態が非居住者となるには必要
現在の私は、実際に非居住者として税務署が認めていますし、問題にもならないと思います。
タイのビザ、加えて労働許可証を持ち、1年の大半をタイで過ごしている
タイの会社で定期収入を得て、納税もしている
日本には年に数回一時帰国するが、帰るのは実家であり、自宅は持っていない
日本で所得を得ておらず、収入面からも生活の本拠ではない
個別ケースごとに、かなり判断が分かれますので、税の専門家に相談するのをおすすめします。
まずは、無料相談から
職業別 海外移住したらどうなる?
FX、株式、仮想通貨(暗号通貨)トレーダー
日本のFX会社や証券会社、仮想通貨取引会社で取引している場合、入出金は日本の銀行がほとんどでしょう。
現時点で利益を出している人の情報は税務署はつかんでいる、または、今後入手する、と考えるのが妥当ですね。
加えて、FX会社などの利用規約で、非居住者の利用禁止となっている会社もあります。
結論としては、
日本のFX会社、証券会社、仮想通貨会社や日本の銀行は使わない
ということになりますね。
僕の税務調査体験談
タイ移住した翌年、税務署にFX取引の確定申告書を提出したのですが、20分ほど待たされた挙句、タイ居住なら日本では非課税、と回答を受けました。
ところが、5年後、税務署からお尋ねがあり、課税対象となります、と言われたので、ちょっと待って下さい。5年前、非課税と言われましたよ。と言ったら、もごもごし出しまして、まあ、今回は見なかったことにします、だと笑
こんなものですが、これを経験してから、もう絶対に、日本のFX会社と銀行は使わないようにしています。
アフィリエイタ―
複数の人に聞きましたが、難しいですね。
日本に生活の拠点とPE(恒久的施設)がなければ、非課税、という意見と、そうではない、という意見にわかれます。
アフィリエイタ―が海外移住して、日本の自宅もなくなれば、PEはなくなります。
「恒久的施設」という用語は、一般的に、「PE」(Permanent Establishment)と略称されており、次の3つの種類に区分されています。
(1) 支店、出張所、事業所、事務所、工場、倉庫業者の倉庫、鉱山・採石場等天然資源を採取する場所。ただし、資産を購入したり、保管したりする用途のみに使われる場所は含みません。
(2) 建設、据付け、組立て等の建設作業等のための役務の提供で、1年を超えて行うもの。
(3) 非居住者等のためにその事業に関し契約を結ぶ権限のある者で、常にその権限を行使する者や在庫商品を保有しその出入庫管理を代理で行う者、あるいは注文を受けるための代理人等(代理人等が、その事業に係る業務を非居住者等に対して独立して行い、かつ、通常の方法により行う場合の代理人等を除きます。)。
一方、国内源泉所得で挙げられていた中のひとつの条文がアフィリエイトに該当するのでは?という見解もあります。
(11) 国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品
A8ネットやバリューコマースなどのアフィリエイトASP会社は日本で運営していて、振込銀行口座も日本です。
アフィリエイタ―の方で、海外移住を考えている場合には、必ず事前に確認するのをおすすめ、します。
ノマドワーカー
大部分の方がそうだと思いますが、顧客のほとんどが日本人という場合、微妙ですね。
加えて、ココナラなど日本のプラットフォームを使用している場合、アフィリエイタ―に近い解釈となります。
日本の銀行口座に入金されるでしょうから。
一方、独自ルートで仕事を受注しているフリーランサーは、非課税となる可能性が高くなりますね。
(そうしないと、日本にいる顧客と商売している外国居住の外国人全てを課税対象としないと矛盾するから)
タイに日本の会社の子会社を設立
リアルで事業運営し、連結対象とした。
⇒タイ法人の赤字が損益通算される。
これはアリですね。自分の周りでも実際にいます。
でも、この人は、そもそもの目的が節税目的ではなく、タイで事業をやること。
それが、結果的に節税にはなった、ということです。
パーマネント トラベラー非課税は、ほぼ無理ゲーな件
ほとんどのケースで無効
国税庁のウェブサイトにこのように書かれています。
滞在日数のみによって判断するものでないことから、外国に1年の半分(183日)以上滞在している場合であっても、わが国の居住者となる場合があります。
1年の間に居住地を数か国にわたって転々と移動する、いわゆる「永遠の旅人(Perpetual Traveler, Permanent Traveler)」の場合であっても、その人の生活の本拠がわが国にあれば、わが国の居住者となります。
これを解釈すると、
日本以外に生活の本拠がないのであれば、日本人であるあなたの生活の本拠は日本だから、課税対象です
となるのが自然ですね。
結局は日本からの所得がほぼ100%な人が、PTですよ、と言っても、すでに網はかけられた、と考えた方がいいですね。
HSBC香港にお金隠せる?は、100%無理ゲーです
さすがに、このような考えの人は減りましたが、各国の口座情報は交換できる仕組みが整っています。
日本から送金していなくて、ハンドキャリーだからばれない、ということも、もはやありません。
税金、節税目的の海外移住のデメリット
節税目的の人の場合、海外移住でストレスが増え、逆に不幸になるケースも
例えば、タイが好きで移住するのと(僕みたいに)、本当は日本がいいけど、節税のために仕方なく、というのでは、現地でのストレスがまるで違ってきます。
特に、見て来たのが、奥様とお子さんが日本がいいから、と帰国したケースです。
残されたご主人は孤独で、中にはアルコール依存症になってしまった人も見ました、、、
事前に十分な確認(税理士、税務署など)をしないで、見切り発車し、数年後に多額の追徴課税となる。
実際に知人でありましたが、非居住者の判定はある意味、非常にグレーです。
ですから、特に高額所得者の方は、くれぐれも事前確認を怠らないことですね。
ベストの海外移住、節税のパターンはこれ!
日本の源泉所得(あいまいなものは必ず税務署に確認)はきっちり日本で申告、納税。
一方、海外移住した後の所得は、日本で発生させない(銀行入金がない)ようにすればきれいです。
日本の顧客と取引ある場合でも、極力、日本とつながないこと
フリーランサ―で日本のお客さんから代金受け取るのも日本の銀行ではなく、仮想通貨、とかですね。
顧客の日本の銀行口座から海外の自分の口座に送金、はNGです。
これにより、余計な詮索される可能性は低くなります。
ただし、移住前から継続取引がある顧客については、事前に確認するようにした方が安心できますね。
(個人事業の場合)法人設立して、日本で(正当に)節税する
海外で生活していると、日本というのは重税感がある一方、様々な助成金や合法的な節税方法があることを痛感します。
僕自身、今、タイに住んでいて、マレーシアの不動産を保有していますが、マレーシアで節税の余地などありません。
そう考えると、勝手知ったる日本で、合法的に、正当に、節税する方法を検討するのも大事だと思います。
今回は以上ですが、何度もしつこく言いますが、税務上の問題は必ず、税理士の先生と税務署に確認の上、行動してくださいね。