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非正規労働者差別の根本的問題をタイで考えました

staff

 

先日、このようなツイートをしました。

ブラック企業アナリストとして、僕自身尊敬している新田さんのツイートに対して、僭越ながら、リプライさせていただいたのです。

 

・正規、非正規間の格差の原因になっている手当や福利厚生は全部止める

という新田さんのツイート本体に対して、僕が下記のリプライ(コメント)を入れました。

 

まさにその方向ですね。

ちなみに、非正規を熱心に報道してきた新聞社自身が、実は自前で派遣会社を作ってきましたが、

陰で支援していたのが労働組合です。

自分たちだけは、待遇下げないための、経営側との密約です

という内容でした。

今回はこの問題について、タイに暮らしていて考えたことを書かせていただきます。

 

今後の予想⇒ 格差はなくなる。ただし、みんな、等しく貧乏になり、格差がなくなる、という行く末

negative

正社員の待遇が非正規に寄り添ってくる、という、誰もが期待してこなかった流れ

 

今後の方向性としては、

正社員に与えられていた各種手当などの特典がなくなり、格差がなくなる

 

という可能性が高そうです。

 

これで、格差自体はなくなりますから、格差問題、ではなくなるのですが、正社員も非正規労働者にもメリットはありません。 

(あるとしたら、非正規の人が持っているかもしれない、妬みの解消ですが、実利ではないですね 笑)。

 

格差問題、と呼ばれていますが、仮に格差は凄まじくても、一番貧しい人達でも年収1千万円以上であれば、おそらくは大した問題にはならないかと。

 

格差問題の本質って、なに?

要は、

お金持ちがいる一方で、食うに困るレベルの人が

増えている

 

ことが問題の本質なわけ、ですね。

もともと、非正規労働者が訴えていた格差是正の意味合いは、

正社員と同じ条件に引き上げてほしい

という事だったわけですから、正社員の待遇が下がって、仮にみんなが非正規と同じ待遇になったら、社会不安に近い位の状況になるかもしれませんね。

 

言葉遊びに徹すれば、これで、格差問題は解消death!

 

でも、そんなの、誰もハッピーになりませんね。

 

視聴者に耳障り良い放送をするテレビでは、実現性薄い、非正規労働者の待遇が正社員と同じに引き上げられるという妄想のようなものを流してきましたが、もし、それをやったら、多くの会社が立ちいかなくなるでしょうね。

成長が止まっていてデフレ下の競争、みたいな会社が日本にはやたらと多いですから。

 

 

非正規差別解消キャンペーン旗振り役の新聞社自体が自前の人材派遣会社を経営していた?

はじめる

僕が働いていた新聞社でのお話

僕が新卒で入社したのは、地元仙台の新聞社 河北新報で6年在籍していましたが、関連会社で人材派遣を行う会社がありました。

クライアントはほぼ100パー、自社とグループ企業だけでした。

当時、河北新報本体の人件費水準はローカル企業としてはトップクラスだったのですが、事務処理などの補助業務の採用は派遣会社経由にすることにより、給与水準を下げたのです。

 

河北新報のような地方新聞社というのは、当時、競合関係にない他地方の新聞社と経営ノウハウの情報交換をしていましたので、どこも似たりよったりの経営でした。

 

電通も自前の派遣会社を持っていました

多くの新聞社が自前の人材派遣会社を持っていましたし、電通だって、女性アシスタントの大部分は自前の人材派遣会社のスタッフでした。

メガバンクだって、同じようにやっていました。

○○人材サービス、とか、○○スタッフサービス、○○恒産サービス、みたいな社名が多かったですね。

 

人材派遣会社には2つのタイプがあります。

横浜のサービス業の会社で働いていた当時、2006年あたりのリーマン・ショック前、土日出勤の仕事に応募がなく、困り果てて頼んだのが人材派遣会社でした。

当時、クライアント側の採用責任者  だった僕としては、有り難い限りの存在でした。

自社ではとても採用できないのに、働いてくれる人を紹介してくれるから、です。

このように、人材不足を解消してくれる派遣会社には、大きな社会的な価値がありました。

 

一方で、先ほどおつたえした、新聞社や電通、メガバンク等、名だたる大企業もおしなべてグループ内派遣を行なっていましたが、自社スタッフを安く採用するための、いわゆるハウスエージェンシーは、正直に申し上げて、社会に価値提供しているとは思えませんね。

 

グループ内派遣会社が行なっていること、提供している価値って?

行っているのは、

・親会社からは、中抜きマージン込で派遣費用を受取りながら労働者には本体とは破格に安い給料しか払わない

(中間搾取)

・ハウスエージェンシーの役員の大部分は親会社からの天下りで、ほとんど仕事しなくても高給が保証される

・関連会社間の取引が節税に利用される

くらいであり、実質的に社会に対して価値を生み出していないのです。

 

このような状況でしたので、2012年に施行された改正労働者派遣法では、派遣会社に対して、系列企業への派遣割合を8割以下に抑えることを義務づけたのです

(とはいえ、いくらでも抜け穴はあります、というか、抜け穴を狙って作っているように思えてなりませんが)

 

 

正規社員の労働組合こそ、非正規の拡大を進めた存在

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労働組合と経営側の密約?

テレビなどのマスメディアで良く耳にするのに、

”非正規ユニオン”

”非正規労働者の組合”

といった言葉がありますが、ここに大きなポイントがあります。

 

 

僕自身が聞いた話しですが、多くの企業で、経営側と正社員の労働組合間で、以下のような合意があったのです。

 

・会社の総人件費はこれ以上増やせない

・そのような状況下で、既存組合員の待遇を維持するには、新入社員の抑制と新規採用は派遣労働者を増やしていくしかない

正社員の労働組合としては、自分たちだけ待遇が維持されれば良い(ベストではないが)と考え、経営側と合意したのです。

(ただし、長期的に見たら、組合員が減っていく訳ですから、組合は弱体化します。でも、自分たちが定年になるまでのあと10年とかせいぜい20年のスパンで考えたら、まあ、いいや、と考えるのも損得感情からすれば、自然です)。

 

もし、正社員の労働組合が、全ての非正規労働者を組合員として認めていれば、非正規ユニオンなど不要なわけ、ですね。

 

 

 

タイで非正規差別問題は?

タイ

タイで非正規差別問題が炎上しない理由

タイは世界一、格差が大きい国のひとつ、と呼ばれていますが、非正規差別問題というのは聞いたことがありません。

というのも、ここ数年、失業率は2%程度と非常に低い状態で、基本的に、雇用のミスマッチを除けば、仕事を望むタイ人のほとんどは就職できたから、です。

僕自身、一時期、バンコクの飲食業に関わっていたのですが、キッチンやウエイトレスでタイ人を雇うのは大変でした。

飲食業は不人気だから、です。

代わりに頼りになったのは、隣国ミャンマー人でした。

決し違法労働ではなく、ちゃんとビザを取っていました。

実際のところ、かなり優秀なスタッフもいて、経歴を聞いたら、ミャンマーの大学で歴史を学んでいて、ミャンマー語、タイ語の他、きれいな英語も話せる、ハイスペック、でした。

それでも、ミャンマーには、まともな働き口がなく、タイに出稼ぎに来る方が良いのです、と言っていました。

他にも3人姉妹で全員、バンコクの日系飲食店で働いていた人達も見てきました。

 

新型コロナで多くのミャンマー人が失職しました⇒タイ政府の支援は皆無、です

飲食店をはじめ、多くのサービス業が一時休業となりましたが、ミャンマー人など外国人労働者にタイ政府からの支援は一切ありません。

あるのは、本国に帰国せよ、というだけ、です。

 

大量の飲食店が廃業したバンコクなのに、タイ人労働者から暴動が起きない理由のひとつは、最も弱い立場はタイ人ではなく、ミャンマー人など外国人労働者であることではないか、という肌感覚がありますね。

 

このように、タイでは非正規労働者差別は目立ちませんが、代わりに外国人を調整弁にしていることが理解いただけたのでは、と思います。

 

 

経済全体を成長させない限り、誰かが損になる現実は変わりません

 

外国人労働者が調整弁になる(タイなど)

自国民の一部を非正規雇用にして、損させる(日本)

自国民労働者全員の給料下げて、全員に損させる(将来の日本?)

 

経済が成長できない限り、上の3つから選ばないといけない。

厳しいですが、これが現実です。

 

国全体を上昇気流に乗せるのは大変な事ですが、自分の身を守ることは、自分の努力と心がけ、そして、健全な将来への危機意識があれば十分に可能です。

備えましょう!

 

 

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