以前と比べたら値上がりしたとは言え、都内タワマンと比べたら、
まだまだ割安に感じる方が多いのか、新規購入の問い合わせも
頂いています。
それに対し、私から、これ! と言うような、
決まった物件は無いのですが、私自身のこれまでの不動産投資経験
(フィリピン、タイ、マレーシア、カンボジア)を振り返り言えるのは、
・大都市(首都)以外の物件には手を出さない
リゾート不可(ハワイは別格)
・プレビルドではなく、完成品、あるいは完成間近の物件
・日本人に大々的に宣伝されている物件には手を出さない
上記の3点です。
勘の鋭い方はすでに気づいたでしょうが、これ、全て当てはまるのが、
残念ながら、多くの日本人が投資した8ニュータウン、
ワン パシフィックといったセブ マクタン島の物件なのです。
まずは、売り出し時、”セブ”と宣伝されていましたが、
実際には、セブ本島ではなくマクタン島というリゾートエリア
であり、スコールでもあると、セブ市ダウンタウンまで
2時間以上掛かった経験もある位です。
マクタン ニュータウンの開発プロジェクト自体は
評価できますが、元々、畑や農家しかなかく、
野犬と山羊だらけの原っぱみたいな土地を
開発して出来たものです。
マクタン島にはセブ マクタン空港があり、
近隣に小さな工業団地はありますが、
他には観光スポットや小売店程度の、典型的なフィリピンの
田舎町の風情であり、マニラのような重厚な産業集積はありません。
となると、2017年前後、中国人オンラインカジノ従業員の
流入ブームみたいな、“特需”でもない限り、安定した
賃貸ニーズはなく、結果として、賃貸も売却も盛り上がらない訳です。
2点目ですが、日本人投資家の多くは、プレビルドで購入しています。
一見、割安に見えることと、物件価格の一部を頭金
として入れれば、残りは毎月、3万円とか5万円といった
サラリーマンでも支払える額の分割払いとなっているので、
心理的ハードルが低く、人気がある訳です。
ところが、プレビルドの場合、当たり前ですが、
完成していない時期から投資が始まるので、資金効率は悪くなります。
さらに、フィリピンの場合、予定された竣工時期通りに
引き渡しになることは少なく、8ニュータウンでも
ありましたが、完成済みとアナウンスされたものの、
それはあくまで建物だけで、内装などは全く
できておらず、ユニットによって、引き渡し時期の差が
3年以上に及びました。
とはいえ、8ニュータウンは、ちゃんと引き渡し
まで行ったので、まだ良しとしましょう。
これが無名デベロッパーの物件だったり、さらには、
バックグラウンドが不明瞭な日本人グループが宣伝した
リゾート案件の中には、引き渡しもされず、実質とん挫
みたいになっている所もあるから、です。
このように、プレビルドは、割安と宣伝されても、
リスクの方がはるかに大きいので、それよりも、
完成品、あるいは完成間近のコンドにミアムをおススメする訳です。
3点目ですが、日本人が購入者の大部分を占めるような
物件となると、まず、その時点で投資としては失敗の
可能性が高いです。
何故かというと、そもそも、魅力的な物件なら、
現地のフィリピン人が買うから、です。
それが、現地の人は買わないので、外国人で、
かつ、現地事情に明るくない日本人にプレビルドを
販売していく訳です。
ところが、実際に引き渡しとなったら、どうなるか?
実際に、そこに日本人オーナーが全員移住したら、
リトル ジャパンみたいになるのでしょうが、
いまのマクタンは全くそうなっていません。
ほとんどの日本人が自分では住まず、賃貸に出している。
これでは賃貸供給過剰となるのは目に見えて明白で、
かつ、利回り取れないから売却も低調なままなのです。
そのような環境で、資金繰りに困ったオーナーが
最安値で投げ売りするので、購入価格程度で売りに
出しても相手にもされない状況となります。
以上の悪条件(田舎、プレビルド、日本人オーナーが大部分)に
全て当てはまるのが、残念ながら8ニュータウン、
ということで、今の低迷が変わるとすれば、
かつての中国人カジノ流入のような特需
あるいは、
日本人オーナーの売却が一巡し、”普通の”フィリピン物件となる
あたりが考えられますが、特需は予測できないのと、
日本人売りの一巡も、まだ数年レベルで掛かる見通しです。
大事な事なので、ここで再度まとめますと、
・大都市(首都)以外の物件には手を出さない
リゾート不可(ハワイは別格)
・プレビルドではなく、完成品、あるいは完成間近の物件
・日本人に大々的に宣伝されている物件には手を出さない
上記3点がポイント、というお話しをさせていただいた
のですが、それでは、買った方が良いのは、基本的には、
上記の反対の条件となるものです。
つまり、
・大都市、首都の物件
・完成物件
これには異論の余地はないのですが、最後のポイントである、
・日本人に大々的に宣伝されている(宣伝されてきた)物件
については、それが完成済みの段階以降となったら、
逆にチャンスと捉えることが出来ます。
なにせ、月々3万円~5万円の支払いで成長国の
不動産が手に入ります!といった宣伝に魅力を感じて
投資したものの、多くの人はメーカーの自社ローンを
使って支払い、その利率が10%とか18%になる
ことの認識もないままで投資開始しているものですから、
どこかのタイミングで、支払いがきつくなり、
大幅な赤字で損切りすることになるのです。
日本人だらけの物件だと、この動きが同じ時期に
集中し、そうなると、価格が急落する。
これが実際に起こったのが、マクタンの8ニュータウンな
のですが、プレビルドで完成前に値崩れが起きると、
ちょっとしたパニック相場みたいになり、我先にと
売り切ろうとする。
しかし、買い手の立場から見たらこれは絶好のチャンスです。
特に完成済み物件であれば、建築途中でのプロジェクトとん挫
リスクがないものを安値で買える訳ですから。
ということで、おすすめの購入パターンは、
・大都市
・完成済み
・何らかの理由で値落ちしている物件
ということになります。
このあたりは、現地でセカンド マーケット物件を
取り扱っている不動産会社にコンタクトするのが
良いでしょう。
デベロッパーから巨額のコミッションを貰っている
プレビルド販売業者のように、立派な事務所とか
宣伝はしていませんが、地道に営業している会社は
あります。